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ヘルスケアビジネス探訪記 in マレーシア(4)

ヘルスケアビジネス探訪記 in Malaysia

 コロンビア・アジア(Columbia Asia)病院を訪問

08-受付で記念撮影 (1024x576)

(1)施設の概要

私はこれまでマレーシアの医療観光に着目し、いくつかの大病院の見学を始め、リサーチをしてきました。今回は、そうした中でも比較的、地域住民のニーズにも目を向けた民間病院であるコロンビア・アジア病院を見学してきました。コロンビア・アジア・グループ(Columbia Asia Group of Companies)は、私が在住するSubang Jayaに本拠地を有する1986年創業の従業員6,000名からなる医療機関グループです。マレーシア以外にもインド、ベトナム、インドネシアに医療機関を展開しています。この日は、同グループが2015年4月に開設したばかりの、Petaling Jayaの施設を案内していただきました。日本人の感覚では驚いてしまいますが、こちらでは、コンドミニアム、ショッピングモール、さらにこの医療施設でさえ、外観が出来上がったさえいれば、例え内部が全て整備し終わっていなくても、とりあえずは開設してしまいます。そのため当院でも全体の半分はこれから住民のニーズ調査をし、職員を補充し、政府の認可を受けて増床する予定とのことでした。

01-建物外観 (1024x576)

この医療グループの経営上の最大の特徴は、全ての施設において3階建てを超える建物は有しないという点です。これは高層階化することによって必要になる新たな基準上の設備が不要となり、大病院に比べより低廉な費用による医療サービスを提供するという、差別化を行っているためとのことでした。一見すると大規模化した方がスケールメリットにより、費用削減を図れるような気もしますが、同グループではペーパーレス化を徹底するほか、経理などの機能を本部に一元化することにより、こうした料金体系を実現しているそうです。大規模ではない代わりに、より多くの施設数を、しかも住宅街の中に開設し、住民本位の低廉で良質なプライマリーケアの提供を目指すという差別化戦略を徹底しています。

(2)設備・人員体制について

病床は全て同一面積の部屋を1人~4人部屋まで4タイプに分けています。一日に3食と2回のティータイムを含む病床の利用料は一日あたり、6,000円未満であり、近隣の医療観光にフォーカスを当てている大病院に比べると約2/3ほどの利用料とのことです。院内では日本と同様に喫煙は認められていませんが、Wi-Fiと携帯電話の全面使用は、マレーシア人にとって、いわば「必須条件」となっており、禁止されていないそうです。マレーシアの医療機関は、政府の認可を受けた後も、毎年、中央政府による査察指導を受けているそうです。

医療機器は日本製が圧倒的に多く、一部にSiemens(ドイツ製)が利用されていました。

見学をさせていただいた施設は開設後もないこともあり、とても近代的で美しい施設でした。とりわけ小児科の病床がかわいらしく印象的でした。

現在、この施設では、医師20名(18人コンサルタント(専門医)、2名メディカルオフィサー(一般医))が勤務しています。医師は2年ごとの契約更新制となっていますが、実際の医師は「終身」在職するのが一般的とのお話でした。なお、患者は担当医を指名できるそうです。

同院には放射線技師や理学療法士も配属されています。興味深いと思った点は、マレーシアではこれらの職種はまだ国家資格化されておらず、ディプロマ(一般的に高校卒業後に2年間ほど修学する職業専門課程のようなものです。)修了により、就業できるということです。

なお、高齢者向けの医療サービスについては、私がこの日に見学した施設ではなく、Shah Alamという場所の施設で提供されているそうです。

02-治療室1 (1024x576)03-治療室2 (1024x576)

04-病室 (1024x576)05-小児科 (1024x576)

06-リハビリ室 (1024x576)07-直営食堂 (1024x576)

(3)医療観光について

このように同院は地域密着型の医療施設で公設の医療観光推進団体であるマレーシア医療観光協議会には加盟していないそうですが、外国人患者の受け入れは一定程度あるとのことで、全患者の20~30%は外国人とのことでした。このうち出身国については、1位:中東、2位:インド、3位:インドネシアの順に多く受け入れているそうです。そのため同院では、英語、マレー語、中国語、タミール語、アラブ語に対応できるスタッフを抱えているとのことでした。

一般に会社勤めをしている労働者のうち75%は何らかの民間医療保険に加入していますが、外国人労働者の中には、バングラディッシュなどの発展途上国からの出稼ぎ労働者もおり、一定程度の料金の不払いは生じているそうです。そのため、全体としては、外国人患者のよる料金の不払い率は、マレーシア人よりも若干高くなってしまいますが、急患の場合には、支払い能力がないことを理由に医療サービスの提供を拒むことはせず、緊急措置の後、公立の医療機関へ転送するなどの対応をしているそうです。

医療観光における診療科目としては、美容整形が大きな割合を占めることが一般的だそうですが、同院ではこのサービスを提供していないそうです。

こちらで民間の医療施設の見学を行うといつも感じることですが、国全体の発展レベル以上に施設、接客レベルが高く、サービスの向上を常に目指している姿勢が伺えました。

 

 

 

 

「きた食dayコンテスト2015」応募作品集を発刊しました!

昨年の8月~11月にかけて、病院・高齢者施設の北海道産食材献立コンテスト「きた食dayコンテスト2015」を開催し、グランプリ、準グランプリ、特別賞、入選作品が決定したところです。

このたび、本コンテストにご応募いただいた施設の皆様の献立等を掲載した応募作品集を発刊しました。

この作品集には、各施設の献立と使用した食材や料理のレシピのほか、コンテストの開催概要などを掲載しています。病院・高齢者施設をはじめ関係者の皆様にぜひご活用いただき、美味しくて品質のよい道産食材の利用が広がるとともに、入院患者や入居者の健康づくりに繋がることを願っております。

◆ 作品集のダウンロードはこちらから
応募作品集